月別アーカイブ: 2014年5月
ユーカリが丘教室 7月期募集
NHK文化センター ユーカリが丘教室Aクラスの7月期
募集が始まっています。
私の密かな自慢は、担当している教室はどこも雰囲気がいいという
ことです。
カリキュラムは1年で組んでいますが、長く続けて下さる方も多い
のです。
ユーカリが丘教室もそんなクラスのひとつです。
新年度が始まり、落ち着かれたこの時期に受講をご検討頂ければ
幸いです。
要注意な筆の洗い方
新うるしを使った筆を洗う場合は、薄め液を別の瓶に入れて頂いた
ものを洗い専用にして頂いています。
しかし瓶ではなく、毎回絵皿に新しい薄め液を出して筆を洗う方も
いらっしゃいます。
これは毎回新しい液で洗える、汚れた薄め液を持ち歩かなくてもよい
などの点からそうされているのではないかと思いますが、この
方法には問題が生じる場合があります。
まず液の嵩が浅いので、絵皿に筆を押し付ける洗い方になります。
そうすると金具に当たって毛が切れ穂先がやせます。
また新うるしが硬化して穂先が固まりかけている筆はしばらく
薄め液に浸しておかないときれいになりません。
絵皿で洗う場合は浸せず軽くしか洗えませんので、筆が取りきれて
いない新うるしで固まってしまうはずです。
特に広い面積を塗った平筆は、浸すことが必須になります。
出来れば教室でお話しているように、瓶で洗い用の薄め液を用意される
ことをオススメ致します。
摺漆用紙使い比べ
昨日ブログに書いた拭き漆ですが、摺漆用紙を使い比べてみました。
ケーク紙という再利用品と、キムワイプという2種類です。
こちらがケーク紙。
漆芸用の摺漆用紙として販売されています。
こちらはキムワイプ。
本来は業務用の拭き取り用紙で、紙粉を嫌う仕事の場で使われて
いるものです。
クレープ加工というちりめんシワがついているのが特徴です。
昨日アップしたれんげ2本で使い比べてみましたが、摺漆用紙の方が
完全に拭き切るのではなく、微妙に厚みをもって残る感じ。
キムワイプはクレープ加工で、しっかり拭き取る感じです。
しかし見た目はほとんど変わりがありません。
今後塗り重ねていくと変化があるかもしれないので、使い分けて
作業を続けてみます。
もしかすると好みの問題に落ち着いてしまうかもしれません。
拭き漆で復活
木製の食器•カトラリー類は、ほとんどの物がウレタン塗装されて
います。
ウレタン塗装は耐水性があり、陶磁器と同じように食器洗いが
可能なのが便利なのですが、長く使用していると劣化し、剥がれて
きます。
そのような状態になってしまったものが、いくつか出来てしまったので、
本漆の拭き漆で復活させることにしました。
れんげです。
右側のものは先がヒビが入ってしまっていたので、既にヒビ止めを
施してあります。
画像の状況は、残っているウレタン塗装を紙ヤスリで削り取ったところ
です。
1回目の拭き漆が終わったところです。
左側のれんげは樹種が南洋材だったと思うのですが、紙ヤスリを
かけた時点ではわからなかった斑模様になっています。
これはこれで面白いと思いますが、拭き漆を重ねていく過程で、
適宜調整するつもりです。
右側のスプーンは、メイプル材です。
ウレタン塗装が剥げてしまっていた部分が濃くなりましたが、
他の部分は均質に塗り上がりました。
昨年からこのブログをご覧になっている方から、京都の骨董市で
購入してきたお盆の修復はどうなった?と質問が来そうです。
それも忘れている訳ではないのですが、どうも目先の物に目が
いってしまいますね。
かな書 調子に乗る
まだまだの腕前でブログにご紹介するのはいかがなものかと
思うのですが、調子に乗っているという話題でご容赦下さい。
かな書は原一菜(いちな)先生から、漢字の草書を書くのに
やっておくとよいということで2年程前に始めたのですが、
あまりに上達しないので、6ヶ月以上全く書かないというくらい
逃げていました。
しかし過去の優品を見て、やはり美しいかなが書きたいと奮起し、
根気良く練習を始めました。
かなは、少し線が違っただけで違う字に見えてしまうという難しさが
あります。
最初はこの点ばかりを先生から指摘されていましたが、筆の持ち方や、
墨の含ませ方を修正し、徐々に解消しました。
現在は墨継ぎや、かすれなど、より臨書として完成度を高める練習に
重点を置いています。
かなを練習してみて、漢字の草書の軽さを表現するのに役立ったのは
当然なのですが、金繕いの仕上げでも上達が見られたのには驚きました。
筆の運びが、やわらかくなったようなのです。
仕上げというと、皆様緊張されると思います。
でも緊張して上手くやろうと思えば思うほど、筆を持つ手が硬くなって
動きが悪くなるのではないでしょうか?
何度もお話していることですが、やり直しは可能ですので、リラックスして
筆を持って頂ければと考えています。
藍 遅れて発芽 2014
60%の発芽率で芽を出したとブログに書いた今年の藍ですが、
種を蒔いて20日後、さらに発芽したのです。
標準的な発芽日数は7〜14日といいますから、それを越えた日数で
発芽したのです。
「決めつけはいけない。」という教訓を得たようです。
この遅れた発芽で、発芽率は70%となりました。
先に発芽した芽がどんどん大きくなっているのに対し、この小さい芽が
どこまで頑張るのか見守りたいと思います。
ゴム手袋の下準備
漆かぶれとは、アレルギー性接触皮膚炎の一種です。
そのため漆かぶれを避ける為には、皮膚を露出させないことが
重要になると以前のブログに書きました。
本漆と最も接触するのが、ゴム手袋です。
どんなに神経を使って作業をしていても、どこにつけたか全てを
把握するのは無理なので、私は作業の切れ目ごとに頻繁にゴム手袋を
交換します。
その際手際よく交換したいので、2枚一組ずつセットして準備して
います。
稀に漆かぶれを起こさない方もいらっしゃいます。
長年扱っていると減感作療法のようにかぶれなくなるという説も
ありますが、用心しておくに越したことはないというのが私の
考えです。
それはいろいろな方から、様々なケースで発症した漆かぶれの
厳しさを聞いているからです。
上品な色に変化しました
昨日に引き続きNHK文化センター ユーカリが丘教室の
Sさんの作品をご紹介致します。
縁がたくさん欠けてしまった角皿です。
しかし画像をご覧になっても、どこが欠けているのか、わからない
と思います。
欠け部を銀で仕上げて頂き、器のベージュ系に類似したシャンパン
ゴールド色に硫化するのを待ったのです。
先日の講座で硫化止めをして頂きましたので、この状態が永続致します。
たくさん欠けてしまったものを目立たせない方法はいくつかありますが、
Sさんの作品は大成功と言えるでしょう。
10カ所近く欠けているのが、まったく目立たないのです。
そしてご本人のセンスで止めると決めた1カ所1カ所の色が、とても
上品な色なのも成功の理由です。
このお皿は色違いのものと一緒にご夫婦でお使いになっていたそうで、
修復の完成でまたお揃いでお使いになれるとおっしゃっていました。
夫婦茶碗、湯のみなど、お揃いのものを直したいというご希望は多いの
ですが、修復してまたお使いになるというお話は何度お聞きしても
嬉しいものです。
大きい面積の仕上げ
昨日に引き続きNHK文化センター ユーカリが丘教室の
生徒さんの作品をご紹介致します。
やはりたくさん仕上げてきて下さったSさんの作品です。
割れの接着をしたものを、金泥で仕上げて下さいました。
裏面に少々足りないところがあるのをご本人は気にされていましたが、
金の発色がよく、綺麗に仕上げられています。
欠けの器も仕上げて下さいました。
特に右の鉢は、欠け部が2.5cm角もあろうかという大きな面積です。
なかなかない仕上げだと思いますが、果敢にチャレンジして下さい
ました。
以前大きな面積の仕上げには筆の号数を上げた方がよいとご紹介
しましたが、ここまで大きい場合は道具立てから全く違う物を
使った方が成功します。
教室でご確認の上、臨んで下さい。