月別アーカイブ: 2014年6月
トクサ 使用限界
このところトクサでなかなか削れないという質問が続きました。
以前からブログでご説明しておりますが、トクサは消耗品です。
削りがはかどらないと思ったら、まず表面の削れる状態が消耗
したのではないかと考えられます。
この使用の限界をみるのには、使い始める前に表面の状態を
覚えておく必要があります。
この最初のざらざらしたものが、消耗すると感じられなくなる
はずです。
削れにくいという原因には、別の理由もあります。
①トクサの同じ所ばかり使っている。
②目詰まりしてしまっている。
などなど。
①は、使いながらトクサを回転させて、いろいろな部分を使う
ようにすること。
②は、水に浸して目詰まりしている物を洗い落とすようにする。
で、解消されると思います。
またそもそもトクサではなくて、大トクサを使っていると、あまり
削れません。
削れないままで作業をしていると、仕事もはかどりませんし、ストレスも
溜まります。
何かおかしいなと思ったら、この内容をチェックしてみて下さい。
思い切って処分するのも大切です。
れんげ リセットしました
先日のブログでウレタン塗装が剥げてしまったれんげを、
本漆で直し始めたと書きました。
その際斑になっていると報告しましたが、この斑の原因が、
ウレタン塗装が剥がれきっていない為と判明。
再度紙ヤスリで落とし直しました。
さてリベンジ出来ますでしょうか?
結果はブログで報告致します。
トクサ 枯れる理由
地植えしたトクサが枯れてしまったと、ご相談を受けました。
以前のブログに書きましたように、トクサはシダ植物です。
その為とても水を必要とします。
お寺などで日影に植えられていることが多く、日照は不必要の
イメージがありますが、真夏の直射さえ避けられれば生育に日照は
あまり関係ありません。
ですので枯れたということは、水不足の可能性が高いのです。
晩秋から早春の間は、それほど水やりに神経質になる必要は
ありませんが、新芽が出て暑さがある間は頻繁に水やりをする
必要があります。
私は自宅マンションのベランダで鉢植えにして育てています。
鉢の下に皿を敷いて、そこに水が溜まるくらいにしています。
普通の植物でしたら、根腐れしてしまうような状態ですが、
トクサは大丈夫なのです。
水管理の目安にしているのが、トクサと同居している苔です。
苔が元気ならば、トクサにとってもご機嫌な環境なのです。
インスタグラム「kintsukuroi shiratori」
花材 フトイ
先日の花活けのお稽古で使ったのが「フトイ」です。
カヤツリグサ科の水生植物です。
穂先のついている茎は束にして量感を出します。
切って残った茎も束にして入れていきますが、綺麗に切りそろえた
茎がモダンで、彫刻作品のようになるのが魅力です。
再び合う
今日は、よみうりカルチャー大宮教室のKさんの作品をご紹介
致します。
備前焼の皿が、真っ二つに割れてしまった物を接着されました。
完成してみると、潔く二つに割れた線がまるで元からのデザイン
であったかのように見えます。
実はKさんは仕上げの金泥が、光沢がなくマットに仕上がって
しまったのを気にされています。
これは蒔下の新うるしの描き方や、蒔く工程に要因があるかと
思われます。
しかし布目の入った裏面など、このマットな仕上げがよく合って
います。
結果オーライではありますが、仕上げは器自体に合うことが
重要だと考えておりますので、セオリー通りでなくとも構わない
と思います。
梅雨空戻る
梅雨入りしたかと思ったら大雨、そして夏空と、今年の梅雨は
不可解です。
これからの数日は梅雨空が戻るようですね。
昨年の梅雨時にもお願いしましたが、この時期の「目止め」という
下準備には注意が必要です。
米の研ぎ汁を使いますので、カビの危険が伴います。
雨が続く場合には、作業は回避した方が安全です。
晴天が数日続く時を見計らって下さい。
下準備は根気がいるものです。
無理はしない方が、結局近道となります。
さらに上達へ
今日もNHK文化センター柏教室を受講して下さっている方の
作品をご紹介致します。
本日はNさんの作品です。
まずは黒釉の片口の欠けを銀泥で仕上げたものです。
こちらは硫化すると馴染んでしまって、全くわからなくなる予定です。
仕上げ部分の内側に小さく凹みが残っているのですが、これも硫化したら
器自体の釉薬の風合いに同化してしまうはずです。
外側に大きく反った小鉢の割れの接着。
こちらも銀泥の仕上げです。
硫化を待たれる予定ですが、現状でも器の形に鳥脚形のラインが
美しい作品です。
Nさんは積極的に仕上げに挑んで下さっているので、ご質問下さる
内容がどんどん高度になってきています。
より美しい仕上げを望まれる熱意に、あまりお話しないような
テクニックもお話しています。
次の作品で、さらに上達した仕上げを見せて下さるのを楽しみに
しています。
白系の釉薬に合わせる
一昨日に続きNHK文化センター柏教室で受講して下さっている方の
作品をご紹介致します。
本日は、Hさんの作品です。
萩焼の作家ものの抹茶茶碗です。
白い釉薬が美しいお茶碗なのですが、縁の部分にいくつか欠けが
ありました。
骨董でいう「虫喰い」のような状態だったのです。
これを今後のホツレの予防措置を行って頂いた上で、欠けの部分を埋めて
頂きました。
仕上げは銀泥なのですが、仕上げてから少々硫化し、釉薬に馴染むのを
待って頂きました。
シルバー色ではありますが落ち着いた色に硫化しましたので、止めの作業を
行うことに。
画像でご覧頂けるように、直しをした部分が全く目立ちません。
Hさんは以前も白系の釉薬の湯のみを銀泥で仕上げられ、馴染んだところで
止めるというのに成功されていますが、これは他の教室の方々にも好評
です。
修復した部分をあまり目立たせたくないという方は、一つの方法として
ご検討下さい。
ところで銀の硫化を止めるタイミングは、どのように判断すればいいのかと
質問を頂きました。
これはどなたも悩まれる問題だと思いますが、一言で言うならば「好み」
なのです。
硫化の段階は目安としてお話していますが、置かれている状況で変色の
具合が違いますので、時間で規定することは出来ません。
ご自分がどのようにしたいかをお考え頂き、それに合ったと思う時に
止めの作業をして下さい。
藍の株分け
5月に種蒔きした藍が高さ20cm程度になり、植え替え可能な
大きさになりました。
そこで株を選んで、大きなプランターに植え替えをしました。
最終的に高さ60cm、直径60cmと大きくなりますので、50cm程度の
プランターでは2株が精一杯です。
残った苗は、原一菜(いちな)先生に貰って頂きました。
昨年同様、また先生の作品となることでしょう。
今年の反省は、この大きさにするまでのプランターの土を
少なめにしてしまったこと。
どうせ植え替えるからと節約したつもりだったのですが、藍に
とっては過酷だったようです。
今年の5〜6月のおかしな天候についていくのを難しくして
しまったようで、下葉が枯れてしまいました。
葉の緑色も淡いようです。
しかしもともと強い植物なので、これからの挽回を期待しています。
貝合せ 書を書く
NHK文化センター柏教室金曜クラスの方々が作品を完成させて
下さいましたので、次々ご紹介したいと思います。
今日はMさんの作品です。
まずは貝合せの作品。
貝合せに絵を描くのはハードルが高いと思われる方もいらっしゃる
かと思いますが、書を書くというのもひとつの方法だと思います。
さらりと書かれた文字が、切り箔、散らし箔を背景にとても
映えています。
光沢のある貝合せは、一菜会のオリジナルです。
素材、手順については、受講して下さった方のみにお教えしています。
Mさんは、金繕いの作品も仕上げてきて下さいました。
ヒビの直しなのですが、曲線が器自体の柄、雰囲気に合っているのが
面白いところです。
Mさんは、納得がいく仕上がりになるまで努力を重ねて下さいました。
その成果が、作品の魅力になっているのだと思います。