根朱筆(ねじふで)

本漆で使う蒔絵筆について、ご質問頂きましたので、ブログでも
ご紹介したいと思います。

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テレビなどで蒔絵師の方がこのように細くて長い筆に本漆を含ませて
線を描いていく様子をご覧になった方もおられると思います。

本来蒔絵用の筆は根朱筆(ねじふで)といい、穂先はクマネズミの背中の毛が
使われていました。
しかし平成5年頃からクマネズミの毛が入手出来なくなり、現在はドブネズミ
、玉毛(猫)などで作られています。
※上の画像の筆は玉毛(猫)です。

本根朱筆と呼ばれることもある鼠の毛で作られた筆は大変高価(4万円程)
ですが、玉毛のものは数千円で入手出来ます。

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蒔絵筆の特殊性は穂先の毛だけではありません。
穂先がはめ込み式になっており、糸を引くと使い手の好みに長さが
変えられます。

金繕いにおいても、この蒔絵筆をお使いになる方もおられますが、これは
必須ではないと考えています。
というのも細く長い穂先を一般の方が使うのは取り回しが難しいからです。
また基本的に線しか描けませんので、線ありベタ面ありの金繕いでは、
効率がいいとは言えません。

私も資料として蒔絵筆は所持していますが、実際の作業で使っているのは
教室でご紹介している筆です。

伝統の道具が厳しい状況に置かれているのは、根朱筆も同様です。
素材となるクマネズミの毛が入手出来なくなったことで、代替えの筆が
登場しました。
若い職人さんは根朱筆の良さを知らないという話に、皮肉を感じざるを
得ませんでした。


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