三春の貝香合

少し前のブログで珍しいご依頼を受けましたと書きました。
それをご依頼主のお許しを頂いたので、お目にかけたいと
思います。

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ご依頼は、茶人であるご依頼主様が茶事のおみやげに頂いた
ハマグリ貝に「桜•梅•桃」を描いて欲しいというものでした。
返礼の茶事に貝香合として仕立てるためです。

お引き受けしたのは、このように特別に誂えるというお考えが
素晴らしいと思ったことと、返礼の茶事を受けられるお客様が
東日本大震災で被害を受けられた福島の方だということです。

なぜ「桜•梅•桃」の3種の花を要望されたかというと、福島は
春にこの三つが同時に咲くからなのです。
それぞれの花の格に応じて男貝•女貝に配置しました。
特に桜は福島の銘木•滝桜です。

書き込んだ書は、
「見わたせば 柳桜をこきまぜて 宮こぞ春の 錦なりける」
という古今和歌集の素性法師の歌です。
春爛漫らしい歌として、本歌取りしました。

ご依頼主様が喜んで下さったのは前のブログに書いた通りですが、
お客様がすぐご自分の差し上げた貝だと気がつき、言葉を詰まら
せるほど喜ばれたとお聞きしました。

ご依頼主様の一期一会を大切にされるお茶事のお手伝いが出来た
こと、東日本大震災に遭われたお客様のお気持ちを少しでも
お慰め出来たのではないかと思うと、本当に満たされた気持ちに
なりました。
このご縁に感謝です。


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