日別アーカイブ: 2018年11月21日

マルセル・デュシャンと日本美術展

原一菜先生お勧めの「マルセル・デュシャンと日本美術」展を見てきました。
マルセル・デュシャン(1887-1968)は伝統的な西洋芸術の価値観を大きく
揺るがし、20世紀の美術に衝撃的な影響を与えた作家です。

あいにく作家の認識がなかったのですが、「自転車の車輪」「泉」といった
代表作は記憶にありました。


自転車の車輪


これら「レディーメイド」と呼ばれる大量生産の工業製品を使った作品の前は
油彩で印象派やキュビズムの絵を描いていました。

その後、チェスのプレイヤーと「ローズ・セラヴィ」という女装家の2つの顔を
持って、画像や広告の作品を発表します。
そして最後は「遺作」と題された扉の覗き穴からのぞくジオラマの作品に
終着します。

レディーメイドの作品など、現在の前衛芸術に見慣れた私達には珍しくない
かと思います。
マルセル・デュシャンの素晴らしいのは、100年前、まだ日本が大正時代
だった頃にこれをやってのけたことです。

「芸術」ではないような作品をつくることができようか
美術は見るんじゃない。考えるんだ。

という言葉が紹介されていますが、デュシャンは考える人だったのだと思います。
工業の始まりで建築、音楽、美術は変化を余儀なくされます。
キュビズムの次に美術はどこへ行くのか、その先鞭を切ったのがデュシャン
だったと解釈しました。
時代が生んだ寵児。天才です。

まるでレオナルド・ダビンチのスケッチを見るような展示がありました。

同じ上野公園内で開かれているフェルメール展とは対極かもしれません。
ちょっと刺激を受けてみたい方はお薦め致します。
東京国立博物館で12月9日まで。
デュシャンの観点に合わせた日本美術の他、本館にも優品が展示されています。


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