私が金繕いをご依頼頂いた赤楽茶碗をご紹介致します。
本漆で作業を行なっています。
ある著名な陶芸家の作品なのですが、桐箱ごと敷居の上に落としてしまわれた
そうで、ズレが生じたひびが入っていました。
ご希望は繕いをしたことがわかりにくい「漆繕い」でした。
漆繕いとは現在、金繕い(金継ぎ)といっている陶磁器の修復方法の原点で、
欠損の直しから仕上げまで漆のみで行う手法です。
ひびをしっかり止めた後、ズレを解消して仕上げの漆を調合しました。
本漆は新うるしと違って固化後の色の変化が大きいのです。
お茶碗自体も場所場所で色が違いますので、何度も塗っては確認を繰り返し
ました。
さらに色が合ったところで途中にあるグレーの斑紋も再現しています。
先般、ご依頼主にお目にかけたところ大変気に入って頂き、無事返却が完了
しました。
やはりお返しした時に喜んで頂けるのが、何よりのご褒美ですね。