月別アーカイブ: 2020年7月
拭き漆で塗り直し
木製のスプーンを拭き漆で塗り直していたものが完成しました。
塗り直し始めた当初は先にウレタン塗装が剥げていた部分が濃くなったりして
いましたが、それも解消。
ツヤが出るまで5回以上塗り重ねたので、終了としました。
箸など木製品をお使いの方は多いと思います。
痛んでいたら早めに塗り直しをするのが長く使い続けられるコツです。
手順さえ覚えてしまえば簡単なので、早々にご確認下さい。
美しい形
藤那海工房 本漆クラスのTさんの作品をご紹介します。
大振りのお茶碗の欠けの金繕いです。
Tさんは形の復元をする作り込みがとても上手な方です。
こうあるべきという理想の形にしっかり復元できているので、仕上げを
しても完成度が高いのです。
これはご本人の完璧な形にしたいというお気持ちが強いからだと思い
ますが、時間がかかる金繕いの作業の中でモチベーションを維持するのは
大変なことです。
渋い銀丸粉の直しが白化粧土の釉薬ととても合っていて、美しい作品になり
ました。
作業中の他の作品もしっかり形が作り込まれているので、完成が楽しみです。
復活した1日講座
NHK文化センター千葉教室で5月に計画していた1日講座が
復活しました。
金繕いの発祥、歴史、実際の作業についてお話しする講演会です。
会場のキャパシティーの1/3までに人数制限をするなど、感染症対策を
万全にして開催致します。
ご不安のある方もおられるかと思いますが、お出で頂けたら幸いです。
9月30日水曜日 午前10:30〜12:00
詳細はNHK文化センター千葉教室までお問い合わせ下さい。
雪景色
藤那海工房 木曜クラスのTさんの作品をご紹介致します。
抹茶茶碗の割れの接着です。
白化粧土で笹に降り積もる雪を表現した雅な筒茶碗です。
それがバラバラに割れてしまっていました。
接着が完了したところで依頼されたご友人に仕上げの意向を確認した
ところ、目立たないようにとのお話が出ました。
これはTさんの丁寧な作業で想像以上に綺麗に形が復元されたので、
当初のとにかくくっつけばとのお考えから、このようなご意向になったの
だと思います。
そこでグレーが強い地の部分は白金泥(プラチナ)、鉄釉の笹の部分は
薫銀泥とされました。
シルバー色というと銀泥がスタンダードですが、後々硫化して黒へと変色
していきます。
返却するものの場合、硫化が向かないことがありますので、その場合には
プラチナ一択になります。
個人的には金泥を使って割れの線の面白さを見せてもいいのではないかと
思うのですが、持ち主の方の反応をお聞きするのが楽しみです。
梅のはちみつ漬け2020 完成!
5月末に仕込んだ梅のはちみつ漬けが無事完成。
炭酸で割って飲んでみました。
体にいいものばかりなので、美味しいのも当然です。
漬け込んだ梅も一緒に頂きます。
元が青梅なので少々硬いのですが、こちらも美味です。
大事に飲んで夏を乗り切ります!
漆繕い
カルチャープラザ公津の杜のTさんの作品をご紹介します。
欠けの漆繕いです。
縁の部分に欠けがあったのを埋めて、弁柄漆の色のままで完成とされました。
元々の器の柄に弁柄漆と近似した柄が入っていたので、金銀の金属色で
仕上げをしなくても違和感がないかと思います。
現在、器の修復は「金繕い」「金継ぎ」と呼ばれていますが、金で仕上げが
行われたのは最後年で、原点は漆の色のままでの完成です。
それを「漆繕い」と称したので、陶磁器の修復の名称は「金繕い」が正しい
ものと考えています。
「繕い」という言葉が美しいと言って頂くこともありますが、その言葉の
持つ意味が美しいのだと思います。
Tさんの作品は原点とも言えるものです。
是非参考になさって下さい。
ガラスのひび
NHK文化センター柏教室のAさんの作品をご紹介します。
ガラスのひびの直しです。
斜めにスライスするようにひびが入っていました。
ひび止め後、見栄えを考えて広く仕上げをなさっています。
新うるしは、ほぼ色がないものがあるので器の印象を妨げずにガラスの修復
を可能にします。
仕上げは金箔を使われていますが、これもガラスに映えて美しく見えます。
陶磁器の金繕い手法の応用でガラスの修復が可能なので、直したいガラス器の
ある方は一度ご相談下さい。
ついつい買っちゃう
時々ご紹介していますが、ついつい買ってしまうのが特殊切手です。
今回は「江戸–東京シリーズ第1集 日本橋」です。
84円と63円それぞれアンティーク風のイラストが魅力的です。
漆刷毛の購入先の江戸屋さんも出ています。
決してコレクターではないのですが、これは使えない…