月別アーカイブ: 2020年8月
松の蒔絵
NHK文化センター千葉教室のYさんの作品をご紹介致します。
ひびを松の芽に見立てて仕上げられました。
元々、根引きの松の柄が入っているフリーカップだったのですが、特に左の
器の底面に不思議な形でひびが入ってしまいました。
これを根に見立てて松の芽に仕上げたところが、Yさんのアイディアです。
着想の元は旅行で出かけられた京都のお庭にあったそうで、ヒントは
思いがけずやってくるようです。
不思議な形のひびを蒔絵で変える。
是非参考になさって下さい。
ピアニスト 野本哲雄さんのCD
ピラティス仲間のピアニスト 野本哲雄さんのCDを入手しました。
タイトルは「プレイズ・モーツァルト&シューベルト」です。
後ろ姿のジャケットにお人柄が表れていると思うのですが、素顔の野本さんは
物静かで義理堅い誠実な方です。
ソロはもちろんですが、室内楽、声楽・合唱の伴奏でも活躍されているのは、
ピアニストとしてだけでなく、お人柄の為せるものではないかと推察しています。
クラシックは門外漢なので内容について語るのは遠慮しますが、繊細にして
ダイナミックな演奏に満足の1枚です。
このコロナ禍は演奏家にとっても過酷な試練になってしまいました。
少しでも早く終息し、また野本さんの演奏を聴きに行けることを願って止みません。
自作の器を金繕い
NHK文化センター千葉教室のTさんの作品をご紹介致します。
ご自分で作陶された器の金繕いです。
縁の欠けを金泥で金繕いされました。
ナチュラルな釉薬に金泥が合っています。
把手付きの個性的な器です。
把手が折れてしまったのを接着し、金泥で仕上げておられます。
こちらも先の器と同様、金泥が馴染む釉薬です。
自作の器を金繕いするというのは陶芸をされている方のみに与え
られた特権と言えます。
金繕いすることで更に愛着が深まったのではないでしょうか。
急須のツマミ
JEUGIAイオンモール八千代緑が丘のTさんの作品をご紹介致します。
急須のツマミの金繕いです。
蓋のみなので本体を想像してみると、恐らく個性的な急須ではないかと
思います。
それのツマミが折れてしまっていました。
ツマミは蓋本体の重さを支える他、本体に入れたり外したりと移動するので
補強が必須です。
Tさんのツマミもただ接着しただけではなく、2種類の補強方法でしっかりと
接合してあります。
完成してみると金泥がワンポイントのようになっていて違和感はないかと
思います。
補強は絶対しなければならないとしているのではなく、接着のみでお使い
頂いても構いませんとお話ししています。
しかし接着のみですと数年で外れてしまう可能性があるのが、半永久的に
持つので、金繕いに時間がかかっても補強をなさる方がほとんどです。
急須のツマミの金繕いをご検討の方はTさんの作品を参考に方針をお決め
下さい。
金繕いの世界 3講座
既にお知らせしているNHK文化センター千葉教室の他、金繕いの
発祥・歴史、作業の実際についてお話しする講演会が様々な形態、
場所で行われます。
○講演会
豊富な画像を元にご来場の皆様の前でお話しし、サンプルなども実際
ご覧頂ける形式です。
9月30日水曜日 午前10:30〜12:00 NHK文化センター千葉
10月30日金曜日 午後1:00〜2:00 NHK学園市川オープンスクール
○オンライン講座
「Zoom」というオンラインツールアプリを使った講座です。
サンプルを直接ご覧頂くことは叶いませんが、感染予防対策を徹底したい
方、ご遠方の方には宜しいかと思います。
9月12日土曜日 午後1:30〜2:50 毎日文化センター
お申し込みはそれぞれのカルチャーセンターにお問い合わせ下さい。
新型コロナウィルスに対する感染予防対策をしっかり行った上で
ご参加お待ちしております。
ご検討をどうぞ宜しくお願い致します。
九谷焼の金繕い
カルチャープラザ公津の杜のTさんの作品をご紹介致します。
九谷焼の欠けです。
華やかな絵付けでお好きな方も多いと思いますが、厚みが薄いので
金繕いでは難しい部類になると考えています。
最初に金彩が華やかな小皿です。
欠けが2箇所ありますが、金彩と金泥の仕上げが馴染んでいるので
気になりません。
次に裏面の緑釉が鮮やかなお猪口です。
こちらも華やかさと金泥が合っています。
合わせてアンティークのカップです。
九谷焼同様、金彩と金泥の仕上げがマッチしています。
いずれも小さな欠けですが、器本体のイメージと合っていると
まとまって見えます。
金繕いのやり甲斐がある器です。
レリーフのある器
カルチャープラザ公津の杜のIさんの作品をご紹介致します。
飛び鉋風のレリーフがあるフリーカップの割れです。
縁が小さい破片で割れていました。
接着しても破片の周囲に欠損があったので、それを埋められました。
意外に大変だったのがレリーフの再現です。
飛び鉋風のレリーフが続いているのですが、これを再現するのが大変
でした。
大小関わらずレリーフのついている器はその形の再現をお勧めしています。
もちろん無視して仕上げることは可能ですが、丁寧に再現して頂くと
破損部分が馴染み、違和感がありません。
それなりの手間がかかるので取り組むかどうか悩まれると思いますが、
完成度の高さは保証します。
Iさんの作品も金繕いの部分は小さいですが、ドーナツ型の難しい仕上げも
乗り越えて綺麗な仕上げになっていると思います。
草木染め 蘇芳
紫色を染めたくて、蘇芳染めにチャレンジしました。
蘇芳はインド〜マレー半島原産のマメ科の小高木です。
その芯材を細かく砕いたものが、草木染め材料として販売されて
います。
不織布の袋に入れて煮出します。
赤ワインのような染液が取れました。
一番右に写っているのが蘇芳のみで染めたシルクです。
あらかじめ玉ねぎの皮で黄色に染めたものとかけ合わせると一番左の
オレンジ色になりました。
狙いの紫がどうなったかというと、渋い紫に染め上がりました。
先日の生藍染めの青との掛け合わせです。
4枚染めてから投入したので、蘇芳の効果が薄かったかもしれません。
蘇芳は乾燥させておけば再利用が可能とのことなので、また生藍染め
との掛け合わせにチャレンジしてみたいと思います。
ちょっとビックリな仕上がりになったのが、これ。
先日、生藍染めで紺と白のストライプに染まっていたのが、蘇芳を
かけたら茶とピンクになってしまいました。
これはこれで面白いかなと自己満足。
経験が少ないので何が起こるかわからず手探りでやっています。
金繕いと違い、やり直しが効かないところはスリリングですね。