月別アーカイブ: 2013年5月

開眼する

NHK文化センター千葉教室のAさんの作品をご紹介致します。

口縁右側に金の直し、左端には銀の直しがしてあります。

Aさんは欠損部を埋める作業に悩まれたのですが、ある時コツを
つかまれて、きれいに埋めて来られました。
そのご様子は、開眼という言葉がぴったりでした。

今回ご紹介した器の他、数点仕上げられたのですが、器の釉薬に合わせて
金銀を使い分けたり、器自体の柄に馴染むように大きく直されたりと
仕上げを楽しんでおられます。

仕上げには“でなければならない”といったルールはないと考えて
います。
Aさんのように楽しんで仕上げて頂けたらと思います。


カテゴリー: 生徒さんの作品 |

ヒビの直し 途中経過

4月から講座の受講を始めた方は、2回目の5月に『ヒビ•ニュウ』の
直しを行います。

画像は以前もご紹介しました、少々ズレがあるほど深刻なヒビのある
器です。

あえて割ることなくヒビの止めを行い、 欠損を埋めたところです。

器の口縁から見込み部分までヒビが入っています。
欠損はしっかり埋めましたので、あとは仕上げを行うのみです。

このようにヒビは、止めの作業を行ったあと表面の欠損を埋めていきます。
これは割れた器を接着したあとも同様です。
欠損を埋めるという意味では、ホツレ(ミリ単位の小さな欠け)、欠けと
同じ作業になります。

ヒビ•ニュウの難しいところは、器の状態を見極めないと後々支障が生じる
ことです。
そのために下準備をお願いしています。


カテゴリー: 基本のき |

藍 発芽する

小学生の観察日記のようですが、先日種を蒔いた藍が発芽しました。

適当にバラバラ蒔いただけに、くっついて発芽しています。
後日間引きする予定です。


カテゴリー: 植物•スケッチ |

バイカウツギ

本日の画題は『バイカウツギ』です。
漢字で書くと“梅花空木”となります。

以前八重咲きのものをスケッチしているのですが、今回入手したのは
一重なので、より梅に近い感じがします。

キンシバイ(オトギリソウ科)
シャリンバイ(バラ科)
利休梅(バラ科)
など、花の形が梅に似ていることから“梅”の名を持った花がたくさんあります。
それだけ梅が日本人 にとって大切なのだということなのでしょう。


カテゴリー: 植物•スケッチ |

端午の節句

端午の節句にちなんで、尾形光琳筆『燕子花図』です。
(根津美術館 蔵)

菖蒲湯に使われるのは、菖蒲(サトイモ科)で、
燕子花は、花菖蒲と同じアヤメ科です。
この2つが混同されやすいのは、かつて分類されていなかった為と
考えられます。

植物園芸が隆盛した江戸時代から花菖蒲が流行しましたが、
やはり端午の節句は水草随一の格を持つ『燕子花』を
お送りしたいと思います。


カテゴリー: 日本の文化 |

藍の種を蒔く

藍(蓼藍•たで科タデ属)の種を頂いたので、蒔いてみました。

種にはカラがついているので、少々ほぐしてから蒔きました。
藍の種は実った翌年しか発芽しないので、注意が必要なのだそうです。

発芽日数は7〜14日です。

藍というと、葉を発酵させた藍染めがポピュラーですが、生葉を
布ではさんで叩いただけでも染色が出来ます。
染色とは植物の薬効を生かすだけでなく、古来は“すりごろも”と言って、
初めての土地の土地神へのあいさつとして行ったものなのだそうですから、
このような染色方法の方が原点に近いのだと思います。

これらの方法の他、生葉の汁を絞っても染色が出来るそうです。
うまく栽培ができたら、水浅葱色という薄い水色に染まる
この方法にチャレンジしてみたいと思います。


カテゴリー: 日本の文化, 植物•スケッチ |

実は日本生まれです

飲食店やご家庭で当たり前のように使われている「ペーパーナプキン」
ですが、実は日本生まれだということをご存知でしょうか?
以前のブログで明治時代に和紙が盛んに輸出されていた話を書きましたが、
それに関連しています。

和紙の薄くて丈夫な特性に着目した横浜の外国人商会が、和紙でナプキンを
作ったことに始まりがあります。
さらに おもしろいのが、浮世絵に見られる木版の印刷技術を使って広告を
印刷したことです。

後年の物になりますが、横浜の山手西洋館のひとつ、ベーリック•ホールに
この館を建てたベリック氏の会社のペーパーナプキンが展示されています。
2009年に偶然、ロンドンのアンティークショップで見つかったものです。

美しい図版です。
洋風なんですが、和の雰囲気もありますね。

横浜の山手西洋館周辺は、新緑と花々で美しい季節を迎えています。
ゴールデン•ウィークの後半、お出かけになって実物をご覧になって
みて下さい。


カテゴリー: 日本の文化 |

割れた器の接着

金繕いの教室では、接着の方法を2種類お教えしております。
カリキュラムの第3回目では、新うるしのみで接着する方法。
カリキュラムの後半で、白米と新うるしを混合した「のりうるし」
を行います。

両者の違いは強度です。
のりうるしの方が、新うるしのみより10倍強度が高いのです。
しかし作る課程ごとにコツがありますので、お一人で作るのは
難しいところがあります。
ですので接着する器の状態でどちらを選択するかを決定しています。

いずれにしろ 割れ方によって下準備が必要な場合があるのは変わりません。
事前にご相談頂くのをオススメ致します。

画像は「のりうるし」で8ピースに割れた湯のみ茶碗を接着した
ところです。
このあと欠損した部分が あちこちにあるので、それを埋めて
いきます。


カテゴリー: 基本のき |