月別アーカイブ: 2014年4月
仕上げに開眼
NHK文化センター柏教室のHさんの作品をご紹介致します。
前回の講座できれいな仕上げの仕方を集中的にご説明しましたのを
実践して下さいました。
大きさのある欠けを綺麗に仕上げるのに難儀されていたのですが、
この作品は均一に綺麗に仕上がっています。
この手順で慣れて行けば、さらに上達されると思います。
こちらは器の大らかな絵柄に合った仕上げがされています。
たびたびお話しているように細い線が引けるのがいいのではなく、
器にマッチしているのがよいと思います。
そういう意味でこの仕上げの太さは、とてもいいと思います。
完成している状態からはわからないのですが、しっかりした線を
描かれるのにいろいろテクニックを駆使されたそうです。
研究熱心なHさんの今後の完成作を楽しみにしています。
難敵!油シミ
器を修復する下準備として、漂白をお願いする場合があります。
大半の方は、ヒビに食べ物の汚れが入り込んでしまっている
状態を解消するために行って頂いています。
この中に難敵がいます。
油シミです。
画像は私が修復をご依頼頂いている器ですが、ヒビが油シミになって
しまっています。
ある方法を3ヶ月以上試みていますが、1mm以上の幅がようやく細く
なってきた程度です。
このように時間はかかっても効果が出るシミばかりではありません。
まったく駄目な場合もあります。
油シミは目立ちにくいので、気がつかず使い続けてしまうことが多い
ですし、破損の程度が深刻に見えない場合もあるかと思います。
しかし器が破損していることには変わりがありません。
なるべく早いうちに手当をすることをオススメ致します。
大皿料理
昨年購入した郡司庸久さんの黒釉の7寸鉢に、料理を盛りつけてみました。
豆苗、パプリカ、豚肉をオイスターソースメインの調味料で炒め合わせた
だけの簡単料理です。
本当は赤いパプリカが入っていると色彩的に綺麗なので少々残念。
郡司庸久さんの器は、想像通りの使い勝手の良さで大満足です。
黒釉は料理が映えていいですね。
残念なヒオウギ貝
以前のブログで、ハマグリ貝の貝合せをなさった方が次にやってみたいと
人気があるのがヒオウギ貝と書きました。
ヒオウギ貝の入手方法は、食用の物をお求めになって貝を取る方法と、
工芸用に販売している貝をお求めになる方法があります。
この工芸用に販売されている貝は、注意が必要です。
販売されている時には、貝の中が見られません。
開けてみて中に問題があることがあるのです。
上の画像の貝は実際私が購入し、開けてビックリだったものです。
これでも削り落とした状態なのです。
開けた時は、何か得体の知れない生物が巣くっていたのではないかと
思うくらい悲惨な状態でした。
工芸用の貝を購入される際には表面を見るしかありませんが、
このような事態を考慮し、数を多めに購入された方がいいかも
しれません。
ドーム状に注意
急須やティーポットの蓋、香合の蓋など高台がなく、ドーム状の
形状になっているものがあります。
これらの接着の場合、全く支えがないパーツが生じることがあります。
その為単に接着してしまうと、硬化を待つ間にズレが生じやすくなります。
これを回避するには、事前に準備が必要です。
あらかじめ教室にお持ちになり、ご相談下さい。
準備についてご説明致します。
金繕いをしていて難しいと思うのは、器ごとに破損の状況が異なるので、
同じような破損に思えても手段が全く異なることがあるということです。
月1回しか講座がありませんので待ちきれないかもしれませんが、
初心者のうちはご面倒でも一度教室にお持ちになり、手順をご確認下さい。
ちょっと待って相談というのが、ご自分の器を効率よく修復するコツかも
しれません。
お手製治具 vol.2
以前ご紹介した治具が、このところ作品制作で使い続けているので、
新しい治具を制作しました。
器の表裏同時に作業が出来るようにする道具です。
はがき大の板に、1cmの角材を切ったものを木工ボンドで接着した
だけのものです。
高台部分を作業していても、うつぶせに置けば表面と同時に作業出来ます。
小さい器の場合は、角材をプラスして調節出来ます。
従前作っていた治具は、1つに数個器を置く形にしていましたが、今回は
1つずつにしてみました。
場所は取るかもしれませんが、1つ1つの管理はしやすいのではないかと
考えています。
こちらは本漆用の治具です。
私は道具類を少々変わった方法で始末するのですが、その為の道具です。
今まで適当なもので代用していたのですが、不安定で危険に感じたので
制作してみました。
自作の治具ならではの作業環境の向上は、私にとってひとつの楽しみになっています。
トクサとツクシ
昨日に引き続きトクサの話題です。
トクサとツクシは、同じトクサ科の植物です。
節の間にハカマがあるところに両者の共通点が見て取れます。
同様にスギナも、トクサ科になる訳です。
こちらも節々にハカマがあるのがトクサと共通項です。
いずれも地下茎で繁殖するので、庭に植えると思わぬところまで伸びて
しまい、困ったことになってしまうのです。
ですのでトクサを地植えする場合には、広がらないように囲いをするか、
鉢ごと植えるか、何らかの対策をオススメ致します。
ツクシは春の季語になっています。
見つけると楽しい気分になりますね。
トクサ大量に頂きました
昨夏の暑さでトクサが不作だったところに、諸方からトクサを
ご提供頂いて、何とか皆様にお分け出来ています。
今日はNHK文化センター千葉教室で受講中の方から、大量に
頂きました。
処分されるところに通りかかって、もらって下さったそうです。
トクサは繁殖してしまうので処分されてしまうのだと思うのですが、
こちらにとっては大切な道具なので“もったいない”ですね。
庭にあるという方は是非活用下さい。
新芽ではなく、ひと冬越した物を根元から切り、1週間干せば道具に
なります。