日別アーカイブ: 2018年5月4日

下地用の筆 選び方

原一菜先生の教室では下地用の筆は天然毛なら何でも良いと
説明があると思います。
その選択に悩まれて方が多いようなので、解説したいと思います。

まず最初に教材としてお渡ししている筆の良さについて知って頂く
必要があります。

決して高価な筆ではありませんが、穂先は豚毛です。
豚毛は新うるしの粘り気に対応出来る腰の強さがあります。
細い線を描くことからベタ面の塗りまで出来る細さは他にありません。
ただ販売しているのが櫻井釣漁具店(東京・神田)くらいしかないのが
問題です。

では画材店で手に入りやすい筆の中から選び方をご説明します。
まず筆の分類を理解する必要があります。
第1は使う画材によって分けられているということです。
油絵、日本画、デザイン(アクリル絵具含む)が大まかな分類です。

第2は穂先の毛質です。
大きく分けると獣毛の天然毛とナイロンなどの人工毛ですが、原先生の
指定が天然毛なので人工毛は除外します。

獣毛は先の豚の他、テン(最上級がコリンスキー)、羊、馬、玉(猫)、
リス等々ありますが、このうち柔らかい質の羊と玉毛は下地筆としては
除外していいでしょう。

次に形です。
ファン、フィルバートなど特殊な形は必要ありません。
下地としては丸筆とか細筆と呼ばれるものが適切です。

実験してみたのが下の画像にあるものです。

左から豚毛、真ん中も豚毛、右が版下用(テン毛)です。

テン毛の面相筆です。

豚毛の2本は油絵用の筆です。
こちらは細い線は描けませんが、腰が強いので広い面を塗るとか
割れの断面にざっと塗るなどの作業はしやすいです。

版下用の筆は細い線も描けますし、面も塗りやすいです。
穂先が短いので後で説明する面相筆より取り回しがしやすい感じが
あります。
ただ置いている画材店が少ないかと思われます。

最後にポピュラーな面相筆ですが、線もそこそこ、面もそこそこ
塗れます。
大抵の画材店ならば取り扱いがあります。
手に入れやすさも合わせて考えると、一番手頃かもしれません。

以上のレポートはあくまでも私の所見です。
何より筆に何を求めるのか明確にし、ご自分の感覚に合うものを
探されるのが良いと思いますので、色々購入し試してみて下さい。
実験した筆はいずれも1,000円以下で買えるリーズナブルなもの
ばかりです。

実は私はかなり色々試しています。
結局ダメで、ただ保管してある筆がどれだけあるか…
ちょっと見せられないくらいです。


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