日別アーカイブ: 2015年2月3日

デキャンタの修復

時々ご紹介しております「おむすび まるさんかく」の店主より
修復依頼のありましたデキャンタの作業が完了し、納品して参りました。

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こちらはバカラのアンティークだそうで、胴に描かれているスミレの
紋章を持つ方からのオーダー品という逸品です。

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わかりにくい画像で申し訳ありませんが、本体の口縁が欠けてしまって
いました。
破片のある部分は接着したのですが、欠損部分も多くあり、それを埋めた
上で洋金箔で仕上げてあります。

陶磁器と違い、ガラスはその物性から様々な注意点があります。
代表的なのは360度透けて欠損部が見えてしまうこと。
今回のように欠損を埋めているのがわからないようにするのがポイント
です。

その他ヒビの止め方、接着の仕方等々、陶磁器の技法が基本でありますが、
ガラスならではの手順がありますので、チャレンジしたい方は教室でまず
ご相談下さい。

またデキャンタという栓が入るものですと、破損の位置によっては、その
加重に対しての配慮も必要になります。
独特の補強方法をお勧めしておりますので、あきらめずに修復をご検討
下さい。

ところで仕上げに洋金箔を使ったのは、本体に金彩があり、それがアンティーク
独特の落ち着きのある色であったからです。
結果なじみがよく、修復部が目立たないという状態に仕上がりました。

お納めしたデキャンタは、栓が入り、同じアンティークのガラス瓶のある
場所に置かれると、しっくり収まっておりました。
帰るべきところに帰った修復品を見ますと、修復させて頂いた喜びを
感じます。


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