日別アーカイブ: 2019年5月30日

輪花を復元

NHK文化センター柏教室のKさんの作品をご紹介致します。
輪花の大鉢の金繕いです。


器の縁が花びらのような形態になったものを輪花と言います。
Kさんの作品は陶器の大鉢で、ゆったりとした形ではあるものの、大きく
破損した部分を元の形を想像しながら復元するのは大変でした。
しかし根気よく作業され、きっちり形を復元されました。

大きな面積であるがゆえに、仕上げも色々試行錯誤されましたが、結局
シンプルに銀泥仕上げとし、少々硫化させたところで完成となりました。

一菜会では欠損を木片で補うことを旨としています。
これは木の加工がしやすいことが大きい理由ではありますが、古い金繕いを
再修復すると木片がベースにあったことに由来します。

木片で金繕いすると隙間が出るのではないかと心配される方もおられます。
もちろん完璧に隙間なし埋められますとは言い難いところはありますが、
これは本漆の錆漆や刻芋漆でも同様かと思われます。

欠損に隙間があった場合、問題になるのは電子レンジをかけた場合です。
わずかな空間の空気が膨張して破裂するかもしれませんが、そもそも金繕い
(金継ぎ)したものはスパークしてしまうので、電子レンジにはかけられません。
よって問題はないと言ってしまって良いかと考えています。

何より木片と漆のたった2つの素材で形成するので、シンプルです。
シンプルなものが最も強いし、形も作りやすい。
最高の手段だと自信を持ってお教えしております。

Kさんの作品はお友達のところへ帰ります。
大きく破損した時点で諦められていたかと思いますが、きっと新たな魅力に
驚かれると思います。


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