月別アーカイブ: 2013年10月

愛用カメラ

ホームページでもブログでも写真撮影に使っているのが、コンパクト
カメラの「RICOH CX1」です。

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購入後5年経過している古い機種なのですが、画像の綺麗さと、
クローズアップがかなり近くまで寄れるので、気に入って使っています。
またシャッタースピードも早いので、横浜山手西洋館のボランティア撮影では
画面から人がいなくなる瞬間の撮影を可能にしています。

先日たまたまカメラ売り場を覗いてみたら、RICOHに異変が起きていました。
RICOHブランドのカメラがGRという上位機種しかなくなっていたのです。
これは報道されていたのを私が気がつかなかっただけなのですが、RICOHと
PENTAXが合併したことに伴う変化だったのです。

RICOHというメーカーは、どちらかというとコピー機のイメージが強く、
カメラでは後発メーカーです。
しかしGRという上位機種は、素っ気ないくらいのシンプルなデザインと
無駄の無い機能でデザイナーや芸能人でいうとタモリや爆笑問題の大田光など
趣味人が愛用するカメラとして評価が高いのです。

このGRは今後も存続するようですが、その後の商品展開はわかりません。
私のホームページやブログは画像が綺麗と言って頂けることが多いので、
今後も何とかRICOHブランドが存続することを願っています。


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自生ムラサキ

昨日のブログに書きました原一菜(いちな)先生の作品で、
国産の自生ムラサキが染色で使われていると触れました。
私がムラサキについて語れる立場にはないのですが、ムラサキの
希少性についてご理解頂きたいと思い、原先生からお教え頂いた
ことの一端をご紹介したいと思います。

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自生のムラサキの花です。
初夏に小さな白い花を咲かせます。
染色に使われるのは根の部分で、紫味を帯びた様子からも
色素や薬効が感じられます。
しかし臭いは「獣臭い」のです。可憐な花からは想像出来ません。

上の画像は貴重な自生種を原先生からお見せ頂いた時に撮影したもの
ですが、実は自生種はほぼ絶滅とさえ言われている状態なのです。
原因は乱獲と生息地であった草原の畑地化によるものです。

ムラサキの栽培を難しくしたのは、発芽の難しさにあります。
さらに発芽したあとも管理を拒む気難しさがあり、減少に拍車を
かけました。

現在栽培されているというものは、江戸時代に品種改良された里紫と
呼ばれるものか、西洋紫だということです。

万葉集にも詠まれ、禁色を染め上げた自生ムラサキ。
自生ムラサキの希少性が少しでも伝われば嬉しいです。


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第7回国際交流展

原一菜(いちな)先生が作品を出展されている国際交流展に
行ってきました。
「日本の伝統の技と心」を伝える活動を続け、世界各国との
文化交流を行ってきた日本伝統文化国際交流協会主催の展覧会です。
会員の研究結果の発表の場になっており、華道、書道、陶芸など
の他、津軽こぎん刺しや日本刺繍、絽刺しなどの手工芸も
あります。

原先生は、草木染めの着物と、金繕いの作品を出展されておられ
ましたので、ご紹介致します。

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雲状にたなびく紫色の部分が、国産の自生ムラサキで染められたところ
です。
国産の自生ムラサキで染色されるのは、原先生お一人です。

いにしえの日本では紫は禁色と呼ばれ、高貴な方しか身につけられない
色でした。
照明を消しますと紫色の部分が、まるで蛍光色のように浮かび上がって
きます。
おそらく薄暗かったであろう宮中で、この衣は輝いて見えたことでしょう。
このようなところに禁色であった所以があらわれていると、原先生は
おっしゃいます。

さすがに会場で照明を消すことはで出来ませんが、貴重なムラサキ染めを
ご覧になって頂きたいと思います。

もう1点展示されているのが、金繕いの作品です。

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こちらは先生の著書「金繕い工房」にも掲載されておりますので、
ご存知の方もいらっしゃると思います。
実物を拝見出来るよい機会です。

会期は20日(日)まで。
池袋の東京芸術劇場 5階の展示ギャラリー1で行われています。

 


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大古瀬 和美 展

友人のアーティスト 大古瀬 和美さんの4年振りの個展が
今日からギャラリー砂翁&トモスで始まりました。
会場の様子です。

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「今」を大切に思う気持ちから制作された作品は、どれも美しい色彩に
彩られています。
特に今回はぎりぎりまで手を入れられたそうで、重ねられることによって
生まれた色彩に、物事を深く考え表現するという大古瀬さんの真摯な
姿勢が現れているように思います。

私が大古瀬さんの作品が好きなところは、もちろんシンプルな構成が
自分の好みに合っているところもありますが、見る側の人間の
気持ちやコンディションによって様々な変化を見せてくれるところ
です。

アーティスト側の気持ちの発露ではなく、見る側を許容してくれる深さが
大古瀬さんの作品にはあります。
だからこそ生活の場にしっくり納まってくれるのではないでしょうか。

あえて画像は引きの物のみにしました。
是非会場にお出かけになって、じっくり近くでご覧になって下さい。
色彩の深さに、引き込まれると思います。

ちなみに今回の作品の中で私が気に入ったのは、1階の奥にある
シックな色彩の作品群です。

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一見、レトロなモノクローム写真のようですが、こちらも複雑な
色合いが隠れています。

私自身もいい刺激をもらって、よい1日になりました。


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金箔を切る

切箔と呼ばれる金箔を四角にカットしたものや、野毛と呼ばれる
糸状にカットされたものを作るには、箔切り台と箔刀を使います。

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下の四角いものが、箔切り台です。
市販されているものがありますが、私は自作したものを使っています。
キョンのセーム皮を貼っています。

上に載っているのが、竹製の箔刀です。
両サイドを紙ヤスリで研ぎながら、箔を切っていきます。

ところでキョンとはシカ科の動物で、見た目は小型の鹿といった感じです。
これが千葉県では閉園した動物園から逃げたものが大繁殖してしまい、
農作物を荒らすとして問題になっています。
2011年の統計で、17,000頭といいますから驚きです。

しかしキョンは、セーム皮にするとキメが細かい最上級品になります。
楽器やカメラレンズ、刀剣の手入れはもちろん、洗顔にもいいとか。

このキメの細かさが、箔切り台としても都合が言い訳です。
箔を傷めず固定し、箔刀を使う際に適度なクッション性があるのです。


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第2回生藍染め大会

8月下旬に行ったのに続き、2回目の生藍染めにチャレンジしてみました。
先日ブログにアップした豆汁下地のミニタオルと手袋も登場です。

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染め上がりです。
左からシルクの畝のあるストール(1回目染料液)
前回と同じシルクのストール(2回目染料液で2回染める)
綿手袋(豆汁下地なし、1回目染料液)
ミニタオル(豆汁下地、1回目染料液)

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シルクストールはかなり満足のいく仕上がりになりました。
花芽が出てからの葉を使ったのが良かったのか、染料液は緑味の
チャコールグレーというくらい濃い色でした。
左の畝のあるストールは前回より濃い青に染まっています。

また右のストールは前回染めたものと合わせて使いたかったので、
同じくらいの明度彩度にする為に2回目の染料液に2回浸けてみました。
実物は画像より彩度の高い、きれいなミントグリーンに染まっています。

逆に失敗したのが豆汁下地の綿手袋です。

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小指の下あたりにムラが出来てしまいました。
これは豆汁下地を乾燥させる時に、洗濯ハサミではさんでしまった
ところです。
ネットの情報で、どこにも触らないように乾燥させるように出ていたのを
守らずに乾かしてしまったら、しっかり出てしまいました。
豆汁下地は濃くすれば濃い色に染まりますが、その分ムラが出ないように
するのが難しいのがよくわかりました。

少々色がくすんでいるのは、陽が沈んできてしまって乾燥に時間が
かかったことが影響しているように思います。

手順で失敗したのが、ミキサーした藍の葉を漉す時に漉し布をつかみ
損なって、細かく砕けた葉が染料液に混入してしまったことです。
原一菜(いちな)先生から、混入してしまうと後が大変と教えて
頂いていた通り、洗う時や干す時にクズが大量に出て始末が大変でした。
ミキサー開始から染料液に浸けるまでを5分で行わなければならないので
漉し直しの時間は惜しいのです。

藍はまだ2株残っています。
あと1回染められそうなのですが、どうするか迷っています。


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金銀ツートン2

8月にお返しした器で、以前ご紹介したものと同じように金銀の
ツートンで仕上げたものがあります。

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京焼のゴブレットです。
外側は銀彩で、内側が粉引きになっています。
そこで外側は銀で、内側は金で仕上げました。

かなり複雑に割れてしまっており、接着から欠損を埋めるまで相応の
時間がかかったのですが、複雑な線を一気に仕上げる自信がなかなか
出ませんでした。
加えて外側は銀でよいとして、内側を銀で仕上げてしまうと硫化した
時のコントラストが気になっていました。

随分お待たせした結果仕上げも上達し(笑)、金銀ツートンという結論に
達し、ご依頼頂いた方にも気に入って頂けました。
無事お返し出来て、ほっとしています。

銀彩は、陶芸用の厚みがある銀箔が貼られることによって作られています。
ですので硫化による黒変は免れません。
どのように保管していても何らかの変化をしています。
ここに修復する際の難しさがあります。

変化した状態を味と考える方が多いので、出来るだけお預かりした時の状態を
変えないように修復していくのが基本です。
よってどのように養生するかが、第一のポイントになってきます。

銀彩のものを修復する場合には養生の他様々な注意点がありますので、
着手する前にご相談下さいませ。


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豆汁下地の方法 訂正

豆汁と書いて「ごじる」と読みますが、草木染めで行われる
綿や麻への下地方法です。
草木染めは元々、絹を染めるために発達した技術なので、タンパク質
を持たない植物繊維の綿や麻は染まりにくいのです。
そのタンパク質をつけるために行うのが豆汁下地です。
本来は大豆をふかして、ミキサーにかけ、漉すのですが、簡略な方法
として豆乳を使うことにしました。

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ミニタオルと綿手袋を浸けています。

8月に行った生藍染めの手順の中で豆汁下地にもふれていますが、どうも
手順が間違っていたようなのです。
第1に間違っていたのは、希釈する割合です。
水20に、豆乳1としていたのですが、1:1とかなり豆乳の濃度が高くて
良かったのです。

第2は乾燥させなければならなかったのです。
豆乳に浸けてそのまま染色しましたが、それでは染料液に豆乳が拡散して
しまいます。

正しい手順です。
①洗い 少し熱めのお湯に中性洗剤を入れ(水1Lに洗剤2cc)、20分くらい
浸す。時々撹拌する。

②豆汁に浸す 水1:豆乳1の豆汁に時々撹拌しながら20分浸す。

③脱水する 洗濯機で30秒脱水する。均一に脱水出来る。

④乾燥させる 豆乳は腐りやすいので、干して一気に乾燥させる

下地つけの時にシワが出来ると、染めた時のムラの原因になるそうなので、
撹拌、乾燥の際に注意しました。

ところで葉を発酵させた藍染でしたら、この豆汁下地は必要ありません。
私がやろうとしているのが生藍染めのために、下地つけをしています。
この連休中に2回目の生藍染めを行う予定です。


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引き受けてみる

「他人の修復を引き受けるには早過ぎる。」とおっしゃる方が
多くいらっしゃいます。
でも思い切って引き受けてみてはいかがでしょう?

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※先日ブログでご紹介しました「おむすび◯△」さんから
ご依頼頂いた器です。

まず自分のものでないので、一つ一つの作業が慎重かつ丁寧になります。
自分の物ですと、どうしても甘くなるところがありますが、
預かった以上責任がありますので、おのずと作業の質が上がります。

それから自分にはない陶磁器にチャレンジするチャンスになります。
陶器がお好きな方、磁器がお好きな方、骨董がお好きな方、作家物が
お好きな方とそれぞれで持っている器には傾向があります。
他人から預かりますと、普段慣れている器とは違う物を扱うことに
なるので、これも勉強になります。

また破損も人の物ですと、やはり違う破損を勉強することになります。
自分にはない器を扱う訳ですから、破損も違うのは当然でしょう。

私も初心者の頃には友人にお願いして、材料費のみ頂戴する約束にして
期間だけはいつになってもよいという条件を飲んでもらい、修復を
請け負っていました。
これで随分勉強になったものです。

金繕いも知名度が上がって参りましたので、習っているとお話しすると
必ず周囲にお願いしたいという方がいらっしゃると思います。
躊躇せず、引き受けてみて下さい。
上達すること間違いなしです。


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欠損通りに削る

金繕いの作業の大半は、欠損を埋める作業に費やされます。
ようやくその欠損が埋まってきたところで、大切なのが欠損の
形通りに削るということです。

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基本はカッター等を用いて器の形なりに削り込みます。
この時に欠損そのままの形に削り込めれば、仕上げの範囲も
必要最小限となります。

必要最小限に削ると言葉で言うのは簡単ですが、埋めている
作業の過程で欠損の大きさが判然としなくなるのが普通です。

では削る作業で、どのように欠損の範囲を絞りこむのか…
それは「様子を見ながら」としか言えないのです。

欠損でない部分はすぐ下が器の表面なので、器なりに削っていると
埋めているものが薄くなってくるはずです。
また正確に形は把握していなくても、欠損らしい形というのが
どなたでも経験でお分かりになると思いますので、違うと
思われる部分は思い切って削り落としてみて下さい。

しかし一番の対策は、まだ埋まり切っていないという段階から
少しずつ削って形を明確にしていくことです。
これが材料的にも労力的にも一番ロスが出ませんし、早くから
形がハッキリしてきます。

やり直しが利かない工芸はたくさんありますが、幸い金繕いは
いくらでも修正が可能です。
恐れずに削って頂くというのが、もしかすると最も重要な
ポイントかもしれません。


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